線と色彩の詩人、初山滋に魅せられた人生を追う。
ロマンのめばえ
涙の跡のように、淡くにじんだ色調、柔らかくうねる水草のような
描線-初山調としかいいようのない独特の美しさは、大正、昭和と
続くその長い画業の中で、私自身が知り合った想い出の一端を述べ
てみたい。
手づくり絵本館館長 長岡陽子
心をいやす手づくり本に初山滋画伯の影響を自己の夢に託して
大学生の時、私は書棚の奥に幼稚園時代のキンダーブックを見つけて、
よく眺めていました。学業に興味を持てなくて自分なりの原点に戻りた
かったのかも知れません。
子供の時は見ていただけだったのに、この時は初山滋の挿絵に強く
魅かれ「くるみ割り人形」のバレリーナの絵などを模写して楽しんで
いました。
童画家・初山滋の流麗な線と夢のような色彩が紡ぎ出す、幻想的な絵の
秘密を知りたくて東京の練馬のお宅に伺って、先生にお会いできたこと
は若かりし頃の宝物のような想い出です。
月刊誌「せいえん」渋沢栄一記念財団より執筆依頼を受けたものです。
文章は原稿の一部を抜粋したものです。
「女」43×61cm 昭和35年~44年頃の初山滋画伯の貴重な版画を
直接、初山画伯から長岡陽子に寄贈していただきました。
下の太陽の作品も円形の珍しい版画もいただきました。
現在の手づくり絵本館では、初山滋画伯の作品を展示して、貴重な手紙など
は大事に保管しています。
今後とも手作り絵本キットを利用して多くの作品のコピーを作品集にして
展示してゆきたいと思う。